裂けて海峡
人間の価値とは?
主人公は、双葉海運の社長「長岡知巳」。
実弟の乗り組んだ船の沈没に疑問を感じ、その謎を解明しようとし、国家権力に追われる身となります。
特攻艇震洋の基地跡に暮らし慰霊碑の墓守をする「花岡康四郎」、恋人「理恵」と共に闘う様子がテンポ良くスリリングに描かれており、途中で読むのを止められなくなります。
月並みな表現になりますが、状況設定・人物描写・物語の展開・心理描写どれをとっても傑作だと思います。
逃れるチャンスがあったにも関わらず、それを潔しとせずに立ち向かった「長尾知巳」が拘った人間の価値とは何だったのでしょう?
人生には幾つかの岐路があり、人それぞれ、自分の価値観に鑑み方向を決めていると思います。
多分、決断した大部分については人生の終焉を迎えてみないと正解だったのか否かは分らないのでしょうが、自分の価値観に対する拘りは持ち続けたいですね。
本作品を読んで色々と考えさせられました。
新潮社 [著] 志水 辰夫
ASIN:410134518X /文庫/446頁
発売日:2004-08
ランキング&評価:---位 5.0
価格:¥ 620 [2007-10-27 Amache]5 - ツライ話は覚えているのに。
4 - 一気に読みたい本
5 - 最後の一行
5 - 確かな筆力で描く国家との闘い