ウィルコムが中国でPHSレンタルサービス開始へ

2008年前半までに導入予定

引用元:Yahoo!ニュース
PHS簡易型携帯電話)最大手ウィルコムの喜久川政樹社長は、読売新聞の取材に対し、中国でPHSを展開する固定通信2社と提携してPHS端末のレンタルサービスを開始する考えを明らかにした。

ウィルコムは、以下の通り11月13日に中国の中国網通PHS事業で提携しましたが、この事業が成功するか否かによりレンタルサービスの成否も決まるでしょう。

引用元:ITmedia +D Mobile
ウィルコムは11月13日、中華人民共和国の通信事業者大手 中国網絡通信とPHS事業推進のための包括的契約を締結したと発表した。
中国網絡通信は中国でPHS、固定電話、ブロードバンドなどを扱う総合通信事業社。2007年10月末現在で約3000万人のPHS加入者を抱える。PHSは国内で開発されたシステムだが、国内よりアジア・南米地域などで広く普及し、総計加入者数は約1億まで拡大。中でも中国は約9330万(中国電信と中国網通の2社)の利用者が存在し、PHSは主に、通話とSMS(ショートメッセージサービス)が中心に活用されている。

中国のPHS小霊通)は、1997年に浙江省余杭市で開始され、地方都市を中心に大都市にも広がって行きました。
実は、これには背景があります。
通信事業者の再編があったのです。それまで通信事業を一手に提供し我が世の春を謳歌していた中国電信(チャイナテレコム)が1999年に分割され固定電話専業になりました。

そこで、ドル箱だった携帯電話事業を失った中国電信が目を付けたのがPHS小霊通)だった訳です。
本来出来ない筈の事業なのですが、流石中国、上に政策あれば下に対策あり、既成事実を作ってしまえば国も認めざるを得ないだろうとの読みだったのでしょう。

携帯電話事業者の中国移動(チャイナモバイル)や中国聯通(チャイナユニコム)のクレームもあり国は中国電信に対してPHSの事業停止命令を3度出しましたが、一度転がりだすと想像を遥かに超える勢いで普及をする中国ですので、やむを得ず国は「小都市」に限って認める通達を出しました。
但し、この通達に抜け道があった為に、現在では大都市でもPHS小霊通)の事業が展開されているようです。

国の政策から言えば出来ない筈のことが出来てしまうのが中国の難しさでもあり面白さでもありますね。

さて、PHS小霊通)は更に普及するのでしょうか?
私が上海にいた当時のPHS小霊通)の評価は繋がりづらい、切れる、音質が悪いでした。(場所によるのでしょうが)
中国を離れて3年以上経ちますので、基地局も増えておりかなり改善されていると思いますが、実際の評価は分からないので、概略を比較すると以下のような感じになります。

           GSM       PHS
月額基本料金    50元       30元
発信        0.13元/分   0.11元/分
着信        一部都市無料   無料
都市間ローミング  可        不可
国際ローミング   可        不可

沿岸部のビジネスマンにとっては中国の各地を飛び回ることが多いので都市間ローミングが出来ないのは致命傷でしょう。
擬似携帯電話として料金の安いPHS小霊通)が普及しましたが、最低限都市間ローミングを出来るようにしないと更なる普及は困難だと思います。
PHS小霊通)のレンタルも、都市間ローミングが出来なければ日本からの出張者も使いようがないでしょう。
中国各地を回る場合には使えませんし、仮に、中国に出張する際は、現地事業会社との打ち合わせのみだとしたら、都市間ローミングは不要ですがPHS小霊通)を持っていなくとも、その事業会社の固定電話で足りてしまいます。
又、現地事業会社の電話を借用し日本に国際電話を掛けるのが憚られる場合もありますが、PHS小霊通)では国際電話は出来ません。

3G以降を見越した差別化として、高機能は無いが安い料金で何処でも通話出来る事を売りにして潜在需要の多い内陸部で爆発的に普及させるか、高速データ通信を売りにして高付加価値サービスを沿岸部中心に普及させるか的を絞る必要があるでしょう。

中国網通ウィルコムの思惑が上手く一致すれば大バケするかもしれません。
今後の動向が楽しみです。

参考:
WILCOM
NICT WEBコラム
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