さまよう刃

少年犯罪と少年法がテーマ

加害者が撮影した「被害者を陵辱している」ビデオを被害者の家族が見てしまうというショッキングな場面の効果もあるのでしょう。
著者の思惑にすっかり嵌ってしまった感もあるのですが、被害者の父、刑事、加害者に利用された少年の心理状態と苦悩が見事に描かれています。
事件をネタに茶番を展開するマスコミの醜い姿にも触れる等物語の構成も上手く出来ています。

ただ、誰も報われない結末、なんとも遣る瀬無い読後感が残りました。

過去の苦悩から自分自身を解放しようとして、被害者の父「長峰」を助けようとしていた丹沢和佳子の苦悩は更に深まったんだろうな、と思いながら読み終えました。

さまよう刃 (角川文庫 ひ 16-6)
ASIN:4043718063 /文庫/499頁
発売日:2008-05-24
ランキング&評価:---位 4.5
価格:¥ --- [2008-06-07 Amache]
5 - すごいっ!
5 - 文庫化
4 - 小説としては○。東野圭吾の作品としては△。
4 - 映像化が楽しみ