テロリストのパラソル

哀れなテロリスト

u-bookさんに勧められた一冊です。
全共闘の仲間3人・・・島村、優子、桑野・・・にまつわる物語です。
その中でも、駒場共闘の理論中枢からも一目置かれるほどの緻密な頭脳を持ち合わせていた桑野。

物語の展開も伏線の張り方も上手く出来ています。
出来すぎかなと思う部分も多々ありますが、一気に読了してしまいました。

読み進めながら、ずーっと気になっていたのは「著名」でした。
テロリストとパラソルはどんな関係があるのだろう....。
結婚してニューヨークに在住してた時代に優子が書いた短歌と繋がっているんですね。
桑野が求めていたのは、「理想的な社会の実現」、「社会的成功」、「地位」や「経済力」ではなく、愛する人との平凡な生活だったのかもしれません。
誰よりも優秀であると思われる桑野が島村に対して抱いていた劣等感、その後の数奇な運命が屈折した考えを益々増長させたのでしょう。
誤った安らぎを求めるとこんな風になるんでしょうね。

あと20年早く、この小説を読んでいたらどう感じたかが知りたくなりました。


テロリストのパラソル (角川文庫)

角川書店 [著] 藤原 伊織
ASIN:4043847017 /文庫/381頁
発売日:2007-05
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 620 [2009-01-25 Amache]
2 - リアリティーが無い
4 - 狂気のスイッチ
4 - 良く出来たミステリーとは思うが・・・
5 - ストーリーの構成が見事
3 - 面白いんだけど・・・