残虐記

妙な魅力を感じる作品

児童誘拐と性という難しいテーマに立ち向かった作品です。

被害者の少女が事件後自らの精神の均衡を保つべく、色々な事を空想します。

その想像力、精緻さには驚くばかりのなのですが、何故かリアリティを感じてしまいます。

著者の力量を表しているのかと思いますが、ヒョットして著者自身が同様の経験をしたことがあるのではないか、と感じるほどのリアリティです。

一方で、現実なのか夢なのか良く分からない部分も出てきます。
この感覚は何処かで感じた事があるなと思ったのですが、著者の「玉蘭」を読んだ時に感じたことであると思い出しました。

読後感は決して良くありませんが、小説という枠に納まりきらないところに、妙な魅力を感じてしまう作品です。

残虐記 (新潮文庫 き 21-5)
新潮社 [著] 桐野 夏生
ASIN:4101306354 /文庫/255頁
発売日:2007-07
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 420 [2008-02-23 Amache]
5 - 無限大の謎
4 - 堕ちきらない切なさ
3 - 小説になりえなかった
1 - これは本当に「作品」なのか?
2 - 意外にも奥行きのない作品でした