繁殖

久しぶりに仙川環の作品を読みました。

保母、「原島聡美」が夏休みに企画した行事で園児が食中毒を起こし管理者として微妙な立場に置かれます。

ところが、実は単純な食中毒ではないことが徐々に明らかになっていきます。

若干現実離れした部分もありますが、「原島聡美」とその恋人「桧垣学」がこの危機に対してどのように悩み対処したのかを中心に物語りは進んでいきます。

そこに、ある大学病院からこの地の病院に派遣され単身赴任をしている「町田信夫」を上手く絡ませています。

家族とも上手くいかず、やりがいを失いかけていた「町田信夫」が生気を取り戻すのと、物語の進行が絶妙にシンクロしており爽やかな読後感を得られます。

世の中、そんなに上手く行かないよと感じる方もいるでしょうか、実生活を振り返ると「町田信夫」の姿が身につまされ、この物語の結末にひと時の安らぎを感じる人も多いのではないでしょうか。

繁殖 (小学館文庫 せ 2-3)
小学館 [著] 仙川 環
ASIN:4094082301 /文庫/288頁
発売日:2007-12-04
ランキング&評価:---位
価格:¥ 560 [2008-03-01 Amache]
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